ニュース
2023年3月2日
ついにシーズン11で完結した『ウォーキング・デッド』(以下「TWD」)。この長い旅路を最後まで生き残った登場人物たちは、どんな道を歩んできたのか。第2回はミショーンの歩みを振り返る。
ミショーンは、初登場時からビジュアルのインパクトが強烈。シーズン2の最終話となる第13話「壊れゆく人格」で初めて姿を見せたのは、アンドレアが森の中でウォーカーに地面に倒され、噛みつかれそうになった瞬間。日本刀でウォーカーを叩き斬る、フードをかぶった謎の人物が出現、しかもその人物の両脇には、両腕を切断されたウォーカー2体が鎖で繋がれていた。その後も、無数のウォーカーたちに囲まれて、ドレッドヘアを振り乱し、日本刀で斬りまくるシーンが続々。ミショーンといえば、まず、凄腕の無敵の戦士というイメージがある。
Michonne (Danai Gurira) and Walkers – The Walking Dead – Season 3, Episode 5 – Photo Credit: Gene Page/AMC
そんな彼女が、最後には、コミュニティの住民たちに信頼されるリーダーとなるのだから、そこだけ見ると大きな変化のように見えるが、実はミショーンは最初から変わっていないのかもしれない。振り返ってみれば、彼女は最初から、人を愛することを欲し、愛する者を守ることを実践してきた。
登場時に、ウォーカー2体と共に単独行動をしていたのは、幼い息子を失った悲しみのため、自暴自棄になっていたからだろう。その後は、アンドレアの危機に遭遇すると彼女を助け、彼女と共に行動する。グレンとマギーが総督に捕まった時には、それをリックたちに伝えに行く。総督たちとの刑務所の争奪戦で人々とはぐれた後、空き家にリックとカールがいるのを見つけた時は、彼らに声をかける前に涙ぐむ。ミショーンは本来、孤独を好む一匹狼ではなく、人々と一緒にいたい、人々を愛したい人間なのだ。
そしてその卓越した戦闘力で、何があっても愛する者を守る。それが極端な形で発揮されたのが、シーズン9第12話「消せない傷痕」で彼女が思い出す、リックとの間の息子RJの出産間近だった頃のエピソード。ミショーンは、かつての友人に騙され、幼い娘ジュディスを誘拐されそうになり、同時に、大きく膨らんだ腹部を刃物で刺されそうになる。ミショーンを殺そうとするのは、かつての友人に洗脳された子供たち。そこでミショーンは、ジュディスとお腹の子供を守るため、やむをえず向かってくる子供たちを殺す。愛する者を守ることが、ミショーンにとって何より重要なのだ。
Cailey Fleming as Judith Grimes, Danai Gurira as Michonne – The Walking Dead _ Season 10, Episode 8 – Photo Credit: Gene Page/AM8
一方で、ミショーンは常に理性的な判断力を失わない。シーズン5第15話「探り合い」で、アレクサンドリアの警官となったリックが、家庭内暴力夫とケンカになったとき、それをやめさせるためにリックを殴ったのが、ミショーン。彼女は、リックが間違えた時には、それをはっきり指摘する。また、シーズン9第1話「新たな幕開け」で、複数の共同体が共有する協約書”権利と自由の憲章”を作成したのもミショーンだった。人々を愛し、理性的な判断ができる。こうしたミショーンの資質は、もともとリーダー向いている。彼女がリーダーになったのは意外ではないのかもしれない。
Danai Gurira as Michonne and Andrew Lincoln as Rick Grimes – The Walking Dead _ Season 5, Episode 13 – Photo Credit: Gene Page/AMC
しかし、そんなミショーンもシーズン10第8話「取引」で、行方不明になったリックを探す旅に出る。そしてシリーズ最終話となるシーズン11第24話「レスト・イン・ピース」に久々に登場し、今もリックを探していることがわかった。この続きが描かれるのが、ミショーンとリックが主人公のスピンオフ・ミニシリーズ。このドラマは、本年1月9日に開催された米テレビ批評家の冬のプレスツアーで、2024年の放送開始が発表されたところ。
このイベントで、放送局AMCスタジオのCEOダン・マクダーモットは「リックとミショーンの忘れられないラブストーリーの、次の章になる」と発言。TWDユニバースのコンテンツ・オフィサー、スコット・ギンプルは「2人はロマンチックなサーガの中で、新たな社会と死人たちの群に追われながら、危険な道をたどる」と語っている。2人がどうやって再会し、どんなドラマが始まるのか。すでにこのドラマの脚本には、ミショーン役のダナイ・グリラが参加していることが発表されており、グリラ自身が描きたかったミショーンの姿が見られそうなのも楽しみだ。
ちなみにミショーン役のダナイ・グリラは、2018年公開の『ブラックパンサー』のワカンダ国王の親衛隊長オコエ役でマーベル・シネマティック・ユニバース入りし、昨年公開の『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』でも活躍。さらにワカンダが舞台のスピンオフドラマの企画も進行中。TWD以外でも、ますます活躍が続きそうだ。
文/平沢薫
2023/07/19
2023/04/26