ニュース
2020年1月27日
2010年にスタートした『ウォーキング・デッド(TWD)』が、放送開始10年目に突入!そこでさまざまなオリジナル・ランキングでこれまでの『TWD』を振り返る。第3弾はこの世界で起きた衝撃的な事件をランキング。『TWD』にはこんなショッキングな出来事があった!
※以下ストーリーのネタバレがあります。
誰もが無事ではいられない。何が起こるか分からない。何しろ、死者が歩き回る世界で生き延びていこうとする話なので、予期しなかったことが次々に起こる。それが普通の状況なのに、さらにその上をいく衝撃的な出来事が起きるのが『TWD』のスゴイところ。いったいどんな事件が起きたのか、ランキングで振り返ってみよう。
Rick Grimes (Andrew Lincoln) – The Walking Dead – Season 2, Episode 6 – Photo Credit: Bob Mahoney/AMC
ハーシェルの農場から焼け出された後、みんながそれぞれ勝手な判断を主張し、それ以外にも精神的ダメージが続いていたリックは、ついにキレて大声を出す。「俺はみんなを守ろうと必死だ。グループに残るなら、二度と俺に逆らうな」。
この発言は衝撃的。それまでは他のドラマ同様、リックは好感度の高い主人公で、彼に共感しながらドラマを見ていることが出来たのに、この瞬間、そうはいかなくなった。しかし、だからこそ『TWD』はここからさらに面白くなる。
Sonequa Martin-Green as Sasha Williams – The Walking Dead _ Season 7, Episode 15 – Photo Credit: Gene Page/AMC
サシャが真っ暗の中、イヤフォンでiPodのダニー・ハサウェイ「いつか自由に」を聴いているところから始まって、後からそれが棺の中だったことが分かる感動的なエピソード。サシャがやろうとしていることは推測できるが、それでもその瞬間、彼女がウォーカーとなってニーガンに飛びかかる瞬間のインパクトは強烈。エピソード最後のマギーのスピーチも感動的。
The Governor (David Morrissey) – The Walking Dead _ Season 4, Episode 8 – Photo Credit: Gene Page/AMC
総督は、ハーシェルとミショーンを人質にして、リックたちが暮らす”刑務所”を自分たちのグループに渡せと要求。リックは刑務所を共有しようと言うが、総督は拒否し、予告もなく、ハーシェルの首を日本刀で斬る。しかも、ハーシェルの娘たち、マギーとベスの目の前で。その直前に、総督が娘のように可愛がっていた幼い少女が死んでショックを受けていたとはいえ、総督のこの突然の暴力は、ショッキング。
Chandler Riggs as Carl Grimes – The Walking Dead _ Season 7, Episode 1 – Photo Credit: Gene Page/AMC
死人たちが動き回る世界でのサバイバルなので、ケガをするのは日常茶飯事だが、それでも主要登場人物の大ケガは衝撃的。
夜のアレクサンドリアにウォーカーの大群が襲来、リックが好意を抱く住民ジェシーの息子ロンは、逃走中に母親と弟をウォーカーに殺され「お前のせいで…」とリックに銃を向ける。ミショーンが彼を倒してリックは無事だったが、ふとカールを見ると、片方の目が撃ち抜かれ、顔の半分が真っ赤に。カールは倒れ、一瞬、死んだのか?!と衝撃が。その後、命は取り留めるが、この場面もショックが強かった。
Khary Payton as Ezekiel, Melissa McBride as Carol Peletier, Lauren Cohan as Maggie Rhee, Norman Reedus as Daryl Dixon – The Walking Dead _ Season 9, Episode 1 – Photo Credit: Jackson Lee Davis/AMC
リックが次第に何かと悩んだり間違いを犯したりする中、どんどん頼れるリーダー的存在になっていったのがマギー。なのに、そのマギーも常に理性的なわけではないことが分かったのが、この事件。
ヒルトップのリーダーだったグレゴリーは、もともと自分勝手な小心者だし、マギーを殺そうとしたのは重大な罪だが、それでも彼に死刑を宣告し、それを住民たちの面前で執行するとはショッキング。
© AMC Film Holdings LLC.2018-10.All Rights Reserved.
親友同士だった2人は、どちらかがグループを去るのかと思っていたら、殺し合いをするという展開になるのが衝撃的。リックは、親友シェーンと2人で夜の森で人探しをすることになり、彼が自分を殺そうとしていることに気づくが、「このまま帰って、すべてを忘れよう」と彼に改心するチャンスを与える。しかしシェーンはそれに応えず、親友同士が殺し合いをすることになってしまうのだ。
Lizzie (Brighton Sharbino) and Penny (Kylie Szymanski) – The Walking Dead _ Season 4, Episode 10 – Photo Credit: Gene Page/AMC
両親を失った幼い姉妹、リジーとミカの出来事は悲痛。リジーは歩く死人のいる世界で生きるために精神を病み、ウォーカーたちにネズミを与えて可愛がり、人間はみな彼らのようになるべきだと考えるようになる。そして、平然と妹ミカを殺して「平気よ、戻ってくるから」と言い放つ。その衝撃。キャロルは、リジーが病んでいることを受け止め、「彼女は他の人と一緒に暮らせない」と彼女を殺す。リジーも哀しいが、キャロルも切ない。
Danai Gurira as Michonne, Michael Cudlitz as Abraham, Norman Reedus as Daryl Dixon, Chandler Riggs as Carl Grimes and Andrew Lincoln as Rick Grimes – The Walking Dead _ Season 5, Episode 1 – Photo Credit: Gene Page/AMC
大仰な演出もなく、当たり前のように画面に出てくるので逆にショックなのが、“終着駅”にある、まるで豚や牛のように人間を扱う人肉精肉所。ビニール製のエプロンをした人々がバットやナイフを持って忙しそうに働いているが、彼らが扱っているのは人間の体。リック、ダリル、グレンも危うく加工されそうに。働く人たちが、もはや何とも思わず普通に働いているところが衝撃度大。
Samantha Morton as Alpha – The Walking Dead _ Season 9, Episode 15 – Photo Credit: Gene Page/AMC
確かに”囁く者”たちが残虐な行為をするだろうと予測させる展開ではあった。とはいえ、こんな衝撃的すぎる光景を目にすることになろうとは。
“囁く者”たちは自分たちの領土への侵入を禁じるため、その境界線に、なんとリックの仲間たちの生首を刺した棒を並べて立てる。
まず遠景が見えて「もしや…」と思わせ、さらに1本ずつがアップになると、誰の首かがわかるほどリアルな生首が。その中にはまだ若い少年少女も。そしてずっとレギュラーだったタラ、イーニッドが。さらに、ダリルがキャロルに見せまいとするが、ヘンリーも。この人数の多さも強烈すぎる。
Jeffrey Dean Morgan as Negan, Danai Gurira as Michonne, Norman Reedus as Daryl Dixon, Christian Serratos as Rosita Espinosa, Steven Yeun as Glenn Rhee – The Walking Dead _ Season 7, Episode 1 – Photo Credit: Gene Page/AMC
この演出がまたスゴかった。シーズン6最終話で、ニーガンがリックたちを捕まえてひとり殺すと言い、誰が殺されるのかはシーズン7第1話までお預け。さらに、殺害シーンは冒頭ではなく、リックの回想として描かれる。そのシーンも、エイブラムズが殺され、怒ったダリルが連れて行かれて、これでひと段落かと思ったところで、イキナリのグレンへの殴打。そのうえ、バッドで潰されたグレンの顔が、このエピソードを監督したVFXマン出身のグレッグ・ニコテロ渾身の特殊メイクでリアルに描かれ、インパクトありすぎ。
こうしてランキングを見ると『TWD』の衝撃には、2つの種類がある。まずひとつは、視覚的にショッキングな事件。突然、直視するのを躊躇してしまうような、とんでもない光景が出現する。第1位は精神的ショックももちろんだが、やっぱり有刺鉄線バット”ルーシー”で殴られたグレンの顔は、ちょっと忘れられない……。
そして、もう一つは、精神的にショックを受ける事件。とくに幼い子供たちのエピソードは、ショッキング。世界の変化は、大人たちよりも子供たちに大きな影響を与えてしまうことがあり、そこが悲痛。中でも第4位のリジーとミカ姉妹の話は切なすぎる。
こんなふうに、ビジュアル面と感情面、その両方に衝撃を与えるのが『TWD』流なのだ。
文/平沢薫
2023/11/21
2023/07/19